当館では、学芸課スタッフが県内の博物館や公民館等の公共施設に出向き、航空や宇宙に興味・関心を持ってもらえるような講座や教室を行っています。(アウトリーチ活動)
岐阜県図書館-「SLIM」を分かりやすく解説
8月17日、岐阜県図書館で「空宙博学芸課スタッフが『SLIM』世界5番目の月着陸を振り返る~『SLIM』クイズに挑戦し、全問正解を目指そう!」と題して、1時間の講座を行いました。
5組13名の親子が参加し、2024年1月20日、世界で5番目に月面に無事着陸した「小型月着陸実証機『SLIM』」の仕様や基本的性能、月面着陸を行うための機能や技術について、小学校低学年の子どもたちでも分かるようにやさしい言葉で、写真や映像を交えながら解説しました。
特に、今回の実証で大きな話題になった「ピンポイント着陸(目標地点から100メートル以内に着陸)」や「画像照合航法(あらかじめ保存していた月面データと撮影した月面画像との照合で現在地を把握しながら着陸地点をめざす航法)」について解説し、日本の宇宙開発技術の高さを世界に示した素晴らしい功績であることを伝えると、感心した様子でうなずきながら聞く姿が見られました。
最後に、「SLIM」と一緒に月面で活躍した「LEV-1」・「LEV-2」という超小型の変形型月面ロボットについて解説し、子どもたちに実際に操作を体験してもらいました。実は「LEV-2」というのは、おもちゃなどで有名なメーカー「タカラトミー」社などが開発・製造した「SORA-Q」という名で有名になり、販売もされているものです。子どもたちは、当館が用意したスマホやタブレットから指示を送り、SORA-Qがクロールやバタフライのように車輪を動かして進んでいく姿に、すっかり夢中になり、時間を忘れて楽しんでいました。
サイエンスワールド-宇宙飛行士選抜試験に挑戦!
9月23日には、瑞浪市のサイエンスワールド(岐阜県先端科学技術体験センター)で、「宇宙飛行士候補者選抜試験にチャレンジ」と題して、午前・午後に1時間の講座を行いました。
17組の親子が参加し、この秋から当館の新規教育プログラムとして始める上記試験3種類(ミラーライティング・コミュニケーションパズル・ブロック組立)に親子で挑戦しました。試験の前には、アメリカ主導で日本やヨーロッパも参加して月面探査を目指す「アルテミス計画」や、「宇宙飛行士に求められる資質や能力」について解説し、試験を行う意味や各試験で調べる力について伝え、試験への挑戦意欲を高めました。
ミラーライティングでは、鏡越しに星形の図形を見て、輪郭をなぞる試験ですが、なかなか思うように自分の手が動かない感覚に驚いたり、親子でどちらが最後まできれいになぞれたかを競い合ったりして、微笑み合っている姿が見られました。
コミュニケーションパズルでは、親子で「課題の図形を説明する側」と「説明を聞いて、その言葉だけを頼りにパズルを並べて図形を組み立てる側」に分かれて行います。試験時間が終わったら親子で答え合わせをしますが、正確に再現できている親子もいれば、「三角形を上に置くって言ったから、ここに置いたのに」「上というのは、〇の上に重ねて置くっていうことだけど」など、笑顔で互いのミスを主張し合う姿も見られ、思わず私たちも笑ってしまうような、ほほえましい光景が多くありました。
最後のブロック組立では、正面と右側面から見た平面図を頼りに、ブロックを組み立てる試験ですが、7分間という時間内で完成させるのに、多くの親子が苦労していました。試験終了後に、正解のブロックを渡して確認してもらいましたが、それを見ても「どうしてここに、このブロックがくるの⁉」と、やっぱり納得できないような表情の親子も見られました。